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田村信非公式インタビュー×3

ちーっけっけっけ。やっぱり笑い声はこれじゃっ。ちーっけっけっけっ。
わしが“ヒステリックちけけ”じゃっ。それいっ 膝がしらにちゅっちゅっ。アキレス腱にちゅっちゅっ。
先日出たゴジラ本に田村信もイラストとコラムを書いているのじゃが、目次の名前が田村信子になっとる。田村信子って誰じゃいーっ 新しいペンネームかいーっ。
だがのー、見本を持ってきた担当編集者が「すんませんー」とか言って珍しい外国ビール数本と『ゴジラ×メガギラス』のCDを持参すると、田村信はあっさり「許す」などと笑ってたらしいわ。なんちゅう貢物に弱い奴じゃっ。
そんな奴はパンツを下げて尻たぶをがぶっ!!
今回は12月10日に吉祥寺のいせや公園店2階で行われた田村信の非公式インタービューのなかから、漫画に関するくだりの一部をしょうかいするんじゃあーっ。
出演者は全部で4人じゃあーっ インタビューはライターのトランク短井(みじかい)じゃあーっ。
田村信の漫画に対する情熱が伝わってくるのー。
トランク「それで、田村先生は漫画家だから漫画のことを聞きたいんですよ」
田村「はあはあ。まーでも、漫画はちっとも詳しくないですよ、私は」
トランク「そうみたいですねえ(笑)。読まないんですよね」
田村「読まないですねえ」
トランク「なんで、読まないんですか」
田村「おもしろくないからですねえ(一同笑)」
トランク「それは自分の漫画を含めて、漫画全体が面白くないということですか?」
田村「いやいや、私のは面白いですよ(一同笑)。他のはわからないんですよ、読んでないから」
トランク「昔はかなり読んでたって聞きましたけど、いつから読まなくなったんですか」
田村「デビューした後は、段々読まなくなりましたね。いや、読んでいたのもありますよ。いまでも、送られてきた雑誌とかはパラパラとね。でも、見るけど読まないですね」
トランク「漫画論を戦わせたりしないんですか?」
田村「しますよ」
トランク「えっ!?」
田村「ものすごい論客ですよ、私は。よく真剣に漫画論を戦わせました」
トランク「本当ですか。いつですか、それは」
田村「もう20数年も前ですね。とっくに飽きました」
トランク「真剣に漫画論を語っていたんですか。田村さんの論理はどういうんでしょう」
田村「よくわかりません(一同爆笑)」
トランク「真剣に語れるということは、田村さんなりに確固たる理論が成立しているということですかね」
田村「そーそー。でもねー毎回言うことが変わるんですよ、コロコロ」
トランク「変わっちゃまずいんじゃないですか。理論というのは、自分のなかで構築されてきたひとつのポリシーですからね」
田村「ポリシーなんてものは、状況に応じてコロコロ変わるもんなんですよ。変わりようがないのは、イデオロギーなんですよ。それでねー漫画の話するときに反論されるの、いやなんですよ、私(一同笑)」
トランク「それ、ただのワガママじゃないですか(笑)。でも反論しないと漫画論を戦わせることにはならないんじゃないですか、ディベートですからね。じゃ、田村先生も相手には反論しないんですか?」
田村「猛反撃します(一同爆笑)。人のくだらん話聞くのきらいなんですよ(一同笑)。別にいやな奴じゃないですよ、私は。私に会った人間は100%“田村信はいい人で紳士だ”って言いますね」
トランク「そうなんですか(笑)。ぼくまだよくわからないですけどね」

ちーっけっけっけーっ 新年だの、新世紀だのいってたのがもうとっくに過去のもんになってしもたのーっ。すぐに春がくるぞーっ もう冬は寒うてたまらんっ。
さすがに田村信たちも2カ月間釣りに行ってないわっ。例年なら、12月だろうが1月だろうが、アホウ3人組が海で凍えてたのに、昨年末から今年にかけては寒すぎるわーっ。予定を立てた日は必ず雪が降っとるわーっ。こんなときに行っても車から出れんわーっ。魚もエサなんぞ喰うかいーっ。そんな冬でも釣りに行こうなどというスカタンどもは防寒服とパンツをズルッ!“寒風尻さらし”の刑にして、冷え切った尻たぶをガブッ!!
というわけで、今回も田村信非公式インタビューの続きじゃーっ ギャグ漫画の“ネタ”に関する部分じゃあーっ

田村「何てったって私は“漫画界のゾンビ”ですからねえ」(一同笑)
トランク「例の、死んでるようで生きているってやつですね」
田村「そうそう。実はこれ、自分で言い出したんだけどね。狩撫麻礼に言わせると、私は漫画界の“岩窟王”らしいですよ」
トランク「『エッヂ』の予告で使ってましたよね。どういう意味なんでしょう」
田村「どこかに幽閉されていて、表に出られないんですよ。多分」(一同笑)
A「『できんボーイ完全版』の紹介で、“幻の巨匠”というのもありましたよ」
田村「知ってる、知ってる。それいいなあ“幻”というのが。自分で言うのもヘンだけど」
トランク「“闇の天才”というのもありましたよね」(一同笑)
田村「仕置人かわしゃ。皆さん、いろいろ考えてくれるんですよ。勝手に」(笑)

トランク「ギャグ作家で、ネタは尽きないと言い切ってる人もいますけど、どうなんでしょう」
田村「ま、そうでしょうね。ネタは尽きないですよ。その“ネタ”というのが、どこまで細分化されたとこまでを言うかにもよりますけどね。
たとえば“買い物に行く”というのをひとつのネタと考えるのか、あるいは薬を買いに行くとか、お菓子を買いに行くとかまでをひとつと考えるのか。これだと100や200はすぐ出てきますよ。あるいは、“スポーツネタ”としてひとつと見るのか、野球・サッカー・バスケットと区分けしてひとつと考えるとかね」
トランク「確かに、そうですね。15〜16ページの作品と4コマとじゃ、またネタの選択も違ってきますよね。でも田村先生の場合は4コマのネタで16ページ十分に持ちますよね」(笑)
田村「何ページでも持ちますよ。(一同笑)ただねー、ネタが尽きることはないというのは事実だけど、使えるネタと使えないネタがあるんですよ」
トランク「このネタじゃおもしろくならない、とかの判断ですか?」
田村「まあ、それは当然なんだけど、たとえば“アイスクリームを買いに行く”というネタだとすれば、スタンドの店頭の奥の部屋でおっさん何人かが部屋中いっぱいのものすごい量のアイスクリームを身体でこねまぜてるんですよ。フンドシ一丁かなんかでね。(一同笑) そこから何かギャグは出ますよ。薬局なら奥の部屋にいっぱい訳のわからん薬があって、睡眠薬もあるだろうし、やたら凶暴になる薬もあるだろうし、即効性の筋肉増強ドリンクがあってもいいわけですよ」
トランク「透明人間になる薬とか」
田村「うわーっ。最低ですね、それは」(一同笑)
トランク「これはダメですか(笑)、でもさすがですねえ。そのネタはどれかの作品で使ったネタですか?」
田村「使わないですよ、こんなしょーもないの。これより3倍くらいしょーもないもんでないと。(一同笑)だから問題は、そこに持っていくまでなんですよ」
トランク「こうワアーと盛り上がる部分までのつなぎのギャグが重要ということですか?」
田村「出だしなんですよ。出だしがスムーズにいかないと、まあさっきの奥の部屋でどうのこうのに持っていくにしても、うまくつながらないんですよ。出だしというのは、別にギャグではじまるというんじゃなくて、流れをつくるというか、状況説明も必要だしね。ここらが一番重要なんですよ。ギャグは卓上の理論じゃないですからね。話し合っててもひとつひとつのギャグは、そら、パカパカ出ますよ」
トランク「透明人間とか」
田村「うわーっ、透明人間はねえー。どうしても使いたいんなら、透明ヤギだね。ヒゲだけ見えてりゃいいじゃん」(一同笑)
A「透明うさぎはどうですか?」
田村「やかましわいっ(笑)」(一同笑)
トランク「出だしが一番肝心だということですね。出だしがうまくいくと、こう階段を登るようにギャグがエスカレートしていく、と」
田村「いや、エスカレートしていくんだから、階段じゃなくてエスカレーターですよ。そりゃ、昇っているエスカレーターを走ったら、むちゃくちゃ速いよ。3倍速だもの」
トランク「いや、速さはいいんですけどね」(笑)
田村「何だかんだ先に出たギャグを話のなかに組み込んでも、笑えないですよ。うまく出だしの流れに乗ったテンポと間でないとね。ギャグの出し方ですよ」
トランク「そうですよね。ギャグを繰り出すタイミングとか間がそれぞれの作家性ですよね」
田村「出し方と押さえ方ですね。どう突っ込むかによってギャグの度合いも変わるしね。突っ込みの間も重要だし、突っ込まない手だってありますよ。同じギャグを使ったとしても、それぞれ描き手によって全く笑いの質は違うもんになると思いますよ。まず、絵が違うしね」
トランク「田村先生は特にテンポと間を重視しますよね。テンポと間が命みたいなところがあるじゃないですか」
田村「チンポですか?」
トランク「テンポですよ」(一同笑)
田村「結局ねー、ギャグはネタで笑わせるんじゃないんですよ。そのネタに即して、どういうギャグが出せるかなんですよ。だからといって、ネタがどうでもいいってわけじゃないんですよ。ものすごく重要なんですよ。
ただ、そのネタでどうしても出だしが決まらなければ捨てるしかないんですよね。いっぱいありますよ、そういうの。捨てたやつね。ここまで持っていけば何とかなるんだけど、どうしても1、2ページ目が決まらないとかね。1、2ページ目にギャグが出ないとか、そういうのじゃなくて、どうしても流れに乗せられないとかね。ここらは感覚なんだけどね。だから、さっきいってたネタは尽きることはないというのは事実だけれども、使えるネタとすれば、そんなにムチャクチャ多いわけではないですよ。ここらは個人差だろうけどね。でも、あそこで透明人間はダメだと思うな(笑)」
トランク「やっぱり、透明ヤギですか(笑)」

ちけけーっ 田村信非公式インタビューまとめの部分じゃーっ 田村信のギャグに対する真摯な姿勢が見えてくるのーっ

田村「できるだけ、一時の流行をネタに使うのは控えるようにしてるんだけどね。そのとき流行ったCMとか、歌とかね。時代を超えて残るもんはいいと思うんだけど、中途半端なものは1年も経ったらみんな忘れるからね。後で、コミックスとかで見返すと、みんな“なんじゃこりゃ”って、元ネタがわからないんですよ」
トランク「ありますね。いっときワーッと盛り上がって、みんなすぐ忘れちゃう流行りもの」
田村「やっぱりみんな、何年か先にも違和感なく読めるものを考えながらやってるんだけども、苦し紛れにその場しのぎの流行りネタをどうしても使っちゃうんですよ」
トランク「でも、たとえば『できんボーイ』なんかはいまでも違和感なく読めて笑えますよ。流行りネタも普遍的なものが多いと思いますけど」
田村「うーん、でも“人間辛抱だ”なんてわかる人間いないもの(笑)。あの単行本が最初出た後からはできるだけ気をつけてるんですけどね」
トランク「“ユーフォー”とか、“へんーしんっ”とかはひと回りして、いま使っても面白いんじゃないですか」
田村「どうかなあー(一同笑)。“口裂け女”って昔流行ったじゃないですか」
トランク「はい。大流行りしましたね。“口裂け女”はベーシックだから、いまでも全然平気ですよ」
田村「あれが最初流行ったころに、懲りずにまたネタに使ったんだけど、同じ週に私を含めて3人もの漫画家が同じネタを使ったんですよ。“尻裂け女”なんだけどね(一同爆笑)」
トランク「あとの2人は誰なんですか?」
田村「山上さんでしょー(一同爆笑)。あと1人は、誰だったかちょっと忘れたけど、担当が“こっちも使ってるよー”とか言って本持ってきましたよ」
トランク「さすが師弟ですねー。思考回路が一緒じゃないですか(笑)」
田村「いやいや、思考とかギャグの皮膚感覚とかは真似て真似られるものじゃないんだけど、芸風がね(一同笑)」
A「もう1人って、誰なんでしょうねえ」
田村「誰だっけなあ。あの時期はいましたよ、似たような芸風が。“口裂け女”をネタに使うなら、何をさて置いても“尻裂け女”ですよ(一同笑)。発売日の関係で、私のが一番最初に出てよかったけどね」
トランク「それで“尻裂け女”は受けたんですか?」
田村「わかりません。(一同笑)でも私は自分で描いたギャグを否定しないから、あれはあれで最高です(笑)」
トランク「わからん奴があほですね」
田村「そうそう」
A「ぼくはそれ面白いと思いますけどねえ」
トランク「でも同じ週に集中したということは、そのあたりがグッドタイミングだったんでしょうね」
田村「そうでしょうね。こんな旬モノはタイミングが全てだから。早過ぎても遅過ぎてもズレたら値打ちないですよ。みんな間合いを計ってたと思いますよ。“いまだーっ”とか言ってね(笑)。でもねー、“口裂け女”あたりは全国区だったけど、誰も知らないネタというのがねえ。『ドンマイ歌合戦』って知らない?」
トランク「いや、知らないです。何ですか、それ?」
田村「TVなんだけどね、昔の。たぶん『ドンマイ歌合戦』だったと思うんだけどなー。司会が伊東四朗とかだったと思うけどね。笑うのよこれが」
トランク「歌番組ですか?」
田村「そうそう。公開録画なんだけど、『素人のど自慢』みたいに素人が出てきて歌って、カネが1つだったら“ドーンマイ ドーンマイッ”とかいって踊りながら舞台のスソまではけないといけないの(一同笑)」
トランク「何ですか、それ(笑)」
田村「ペナルティーだか何だか知らないけど、鐘が1つだったらとたんに踊りの音楽がかかってね、司会者らも一緒に踊るんだけど“ドーンマイ ドーンマイ”とか踊りながら去っていくのよ」
A「面白いじゃないですか、それ(笑)」
田村「いや面白いんだよ。笑ったよ。着物着たおばさんが静々出てきて島倉千代子だかとつとつと歌うじゃん。そんで鐘がカーンとか鳴ったとたん、みんなで“ドーンマイ ドーンマイ”とか言って、こんなに手とか足上げて踊るのよ(一同笑)。じいさんとか、ばあさんもさ、あれ、できるだけ派手にとか言われてるんだろうね。鐘が鳴ったとたん、歌のときよりも必死になって“ドーンマイ ドーンマイ”って踊りながら去っていくの(一同爆笑)」
トランク「笑えますねー、それ。鐘が全部鳴る人もいるんですか」
田村「そら当然いたんじゃないの。そんなリスクしょってんだから賞品とかも豪華だったと思うけどね。でも、これが踊ったら笑えるな、というキャラはだいたい踊ってたけどね(一同笑)」
トランク「いつぐらいの番組ですか?」
田村「私が『漫画ゴラク』とかやってたときだからねー」
A「“ミスター赤玉”とかだったら昭和59年あたりじゃないですかね」
田村「そうだね、そのあたりだと思いますね。7時とか7時半とかからやってたんだけど、“敗者に踊らせる”という発想は愉快だよね。スタジオじゃなくて舞台でさ。歌唱力とか、動きなんかは事前にわかってる訳じゃん。これの順序の組み合わせと鐘のタイミングで、笑いの間とかはしたたかに計算できるよね」
トランク「歌番組の名を借りてるけど、ただの歌番組じゃないですもんね」
田村「公開素人歌謡お笑いアクションバラエティーですよ。長いな。それで、それがあんまり面白いからネタに使ったんですよ」
トランク「また使ったんですか(笑)。流行りものは使わないように気をつけてたんじゃなかったんですか」
田村「まあねー。こういうのは“太ももにふくらはぎは代えられない”って言うんだけどね。いまの“背に腹は代えられない”をもじったギャグだからね(一同笑)。
それで話は全編、何かあったら意味なくみんなで“ドーンマイ ドーンマイ”って踊って去っていくの(一同笑)。そしたら担当もそんな番組知らないんだよね。知らない人間のほうが圧倒的に多かったですよ。ネタに使ったちょっと後に番組も終わっちゃったしね」
トランク「終わっちゃったんですか(笑)。でも、田村先生の芸風だと元ネタは知らなくても笑えると思いますけどね」
田村「もちろんですとも。(一同笑)でもねー、描き手としては読み手が知ってることを前提としての計算だからねー。ここらの判断ミスを自覚したときっていうのは、けっこう気色悪いもんなんですよ。ギャグの描き手はみんな神経質だから、読者の気づかないところまで緻密に計算するんだけども、これだと計算式自体が違ってるもの。だから判断ミスを犯さないためにも流行りネタはやめよう、と」
トランク「そのころ思ったんですか。いやー、でも、その後もありましたよ。何でしたっけ、“ふくらはぎを太ももに代える”んでしたっけ(笑)。ありましたよ、けっこう新しめのでも(笑)」 田村「うーん。“ふくらはぎは太ももに代えない”けども、“お尻をホッペに代える”くらいはあったかもしれない(一同笑)」
A「そっちのほうが強烈じゃないですか(一同笑)」
トランク「田村先生の漫画はよくみんな踊りますけど、やっぱりそういう番組とかはギャグの勉強のために観るんですか」
田村「あー、そうですねえ(笑)。踊りはスラップスティックの基本だもの。こう見えてもねー、いろいろ研究熱心なんですよ、昔から。いまもそうだけど。ゾンビなのに(一同笑)。モスクワバレエ団も観に行きましたよ」
トランク「えっ、バレエも観るんですか」
A「変態じゃないですか(一同爆笑)」
田村「変態ですとも(笑)」
トランク「日本公演のやつですよね。高いんじゃないですか?」
田村「高いですねえ。日本のバレエ団とかだともっと安いんだけど、ドンマイ踊り見たんなら、ピンからキリまで観とかないと。日生劇場とか行きましたよ。どうせなら、『白鳥の湖』を観たかったんだけど、『コッペリア』とかいうのだったですよ。どっちでもいいんだけどね。違いがよくわからないし(一同笑)」
トランク「やっぱりそういうまともな踊りも観とくわけですね。それはそれで勉強になりますか」
田村「なりますとも。なんてゆーの、こう、股間のふくらみ具合とかさ(一同爆笑)」